Friday, November 14, 2008

Open-Source Appeal on “New US President and Next Leader in Japanese Politics” Seminar

Those of you who can read Japanese, I request your help. Any comments, hopefully constructive, in Japanese, English, or Portuguese, on the following answers are welcome. I will be joining the panel at this GLOCOM-TUJ event. I’ve been working out my comments in advance since I’m not a good extemporaneous speaker. Each panelist has five minutes for the answers to questions 1) and 4) and ten minutes for 2) and 3). For 1) and 2), I’m up to about five-six minutes depending on how quickly I speak 1). I hardly have anything on 3) and 4). I’ll be adding to and otherwise editing them as I go along; for now, I’m signing off. I thank you for your cooperation.

Please write to okumurajun@gmail.com.

Or if you prefer, you are welcome to post them as comments.

1)次期米国のオバマ政権はどのような政権になるか。

 一言で言うと、これは、たぶん Robert Dujarricが最初に言ったのではないかと思いますが、Commander-in-ChiefでなくJanitor-in-Chiefだ、つまり、少なくとも一期目は、「後始末政権」であって、経済の立て直しを図りながら、イラクからの撤収とアフガニスタンへの増派を進めるというのが、圧倒的に最優先課題だと思います。それ以外の点については、閣僚等の政治任命も含め、ブッシュ政権と違い、イデオロギー色をできるだけ薄めながら、比較的慎重にことを進めていくだろうと予想します。というわけで、内外で絶大な期待を寄せられていることが―CNNの最新の国内世論調査では、オバマへの支持率が75%、チェンジに期待できるとする回答が2/3近く、4年後には米国の状況が良くなっているとする回答が76%です-それが現実との落差拡大という形でかえって重荷になる危険もあるわけです。

 経済の立て直しについては、金融パニックは、今の7000億ドルの救済パッケージでとりあえず小康を得ているので、それをブッシュ政権から引き継ぎながら、並行して、相当規模の景気・経済対策を民主党が多数を占める議会と一緒に組み立て、実行していくということになります。その中で、1)オバマ流のユニバーサル・ヘルスケア実現への手掛かりを作り、2)教育改革にも手をつけようとするものと予想します。それに、ちょっとミスリーディングな表現でありますが、3)所得減税もやるでしょう。さらに、4)エネルギー・環境対策も重視していて、自動車業界救済策も、その枠組みの中に位置付けられていくでしょう。この4点というか、それらがオバマのチェンジの中身の核になるでしょう。それで2年後の中間選挙を経て、どこかの国は、全治4年だそうですが、その4年後までに景気回復が進んでいれば、オバマの再選がきわめて有力になってくる、というシナリオを想定して見守っていくことにしています。

 イラク、アフガニスタンについては、それぞれ情勢次第ですが、いずれも大変難題で、しかも、不確実性に満ちています。イラクは、治安、経済ともに改善されつつあるが、宗派間、民族間、党派間の安定的均衡を可能にする政治的条件が整う見通しが立ちません。ただ、イラクの国内事情もあり、遅かれ早かれ米軍が主役の座を降りることは、マケインの場合でも大差なかったでしょう。アフガニスタンは、治安が徐々にではあるが着実に悪化しており、出口が見えません。ただ、これまたテロとの戦いの主戦場で状況が対応を形作っていくことに変わりありません。
 外交面のほかの大所では、パレスチナ問題、イランの核開発計画をはじめとする中東問題、北朝鮮の大量破壊兵器・弾道ミサイル開発問題については、いずれも、ブッシュ政権後期の対話路線を続けていくでしょう。オバマは、パレスチナ問題を解決に向けて大きく進めるだけの国内政治上のレバレッジを持っていません。イランの核開発計画については、経済制裁(特に投資規制が効いている)に原油価格の低下が当分続けば、多少希望が持てるでしょう。ただし、米政権交代の合間を縫ってイスラエルが核施設攻撃を行う可能性が若干あることに留意すべきでしょう。北朝鮮については、金正日政権としては、とりあえず取るものは取ったので、核兵器(?)、貯蔵プルトニウムの提出といった、対米国交正常化につながっていくような措置に進むことは、当面考えられないと思います。そのほか私が気になってしょうがなかったのが、対ロシア関係です。実は、私は、マケインのロシアに対する敵対的姿勢について大きな懸念を持っていて、これが両候補の対外政策上の最大の違いだと思っていました。オバマの下で、とりあえずミニ冷戦は回避できたのかなと思っています。
 なお、経済、外交の双方にまたがるものとしてFTAの見直しがありますが、これは、実質的な影響があまりないと予想していますのが、話が長くなるので、とりあえず省略します。
 他に米国内で重要なのは、連邦裁判官の指名権です。今、最高裁がリベラル派、保守派それぞれ4名ずつに中道派が1名、という構成になっていて、向こう4年の間、つまり新大統領の任期中にリベラル派裁判官が2名退任するものと予想されています。民主党議会の承認が必要だといっても、大統領の意向に対する抵抗には一定の限界があります。また、最高裁が取り上げる事件数に限りがあるので、広く連邦下級法廷の裁判官の指名権があることも、とても大事です。

 こうしてみると、後期ブッシュと比べてたいして変わり映えしない、どこにチェンジがあるのだ、とおっしゃるかもしれません。確かにそうですが、もともとオバマの「チェンジ」は、政治、社会のプロセスそのものを変えて国民の統合を深めていこう、というところに重点があって、その結果、具体的な措置そのものは、必然的に現実的、プラグマティックなものになっていくのです。しかも、内外情勢が極めて厳しく、独自の工夫を凝らす余地が乏しくなっている、誰がやっても同じようなことになっている、ブッシュ大統領の変身がその何よりの証拠だ、というわけです。
 ただ、オバマにあってマケインにも米国のほかのどの主立った政治家にもないものがあります。つまり、世界中から圧倒的な好意で迎えられていることが、とても大きなポリティカル・キャピタル、国際的グッドウィル、オバマの持ち札になっているわけです。というわけで、期待値が高いのは大変だが、限界的なところでは、これが確実に効いてくるし、より一般的には、米国に対する好意へとつながっていくことも大事でしょう。
 

2)民主党政権になるとアジア政策(特に対日と対中)がどう変わるか。

 アジアは、北東はロシアから南西はイエメンまで続いているので、「アジア」について議論をする人は、その都度、国、地域、そして課題をはっきりさせる義務があると思っています。という前置きで、対日本、対中国に絞ってお話しします。オバマ政権になったから変わるということは、基本的にはないと思います。変わることがあるとすれば、それは、米国の政権交代の結果ではなく、状況の変化の結果としてのことです。具体的な問題に沿ってご説明しましょう。

 対日関係のほうがわかりやすい。
 日本の政財官のリーダーたちの間では、マケインのほうがいい、というのが圧倒的な声だったように思います。それは、ひとつには、共和党が自由貿易主義、民主党が保護主義という印象、イメージが強いこと、それに加えて、共和党の両ブッシュ大統領の日本に対する気配りが手厚かったのに対して、民主党のクリントン大統領の下で、経済摩擦の激化に加えて、中国優先のジャパンパッシングがあった、という印象が強いことが背景になっています。さらに、マケインがアジア・太平洋地域において、同盟国としての日本を最も重視する考えをはっきりと打ち出したことが、好感を呼んだようです。
 だが、まず、安全保障問題について言うと、安全保障条約の下での日米同盟のあり方ないし米軍再編についての米国の方針が変わることがありうると感じさせるものは、オバマの場合にもありません。北朝鮮については、すでに述べたとおりですが、拉致問題についても、オバマ政権だからと言って特に期待できると思わせられる動きが一切なく、また、期待する理由もありません。マケインのほうがより気配りをしてくれることになったかもしれませんが、いずれにしても、テロ支援国家の再指定があるとすれば、それは大量破壊兵器がらみであって、拉致問題の成り行きによって左右されるものでありません。
 経済問題について言うと、レーガンからブッシュ・シニアの時代にも、貿易摩擦がありました。ただ、クリントン大統領が就任したのは、米国経済が悪化したのを受けてブッシュ大統領の再選を阻止したうえでのことであり、時あたかも日本の経済バブルが頂点に達しようとしていました。いわば状況が経済摩擦の激化を招いたのであって、その大きな原因が民主、共和の違いにあったと断定するのにはかなり無理があります。また、ここだけのことで言えば、ブッシュ・ジュニアの時代にも、ドーハ・ラウンドを中心に、ロバート・ゼリックのジャパン・パッシングも相当なものだったように思います。いずれにせよ、二国間で言えば、ブッシュ時代と同様、単発的事件を除けば、比較的無風状態が続くのだと思います。それがジャパン・パッシング、ジャパン・ナッシングだと言うのなら、それも悪くありません。

 中国については、断言できるほど自分で考えていませんが、基本的は変わらないだろうと見ています。外交・安全保障では、引き続き協力できるところは協力していくだろうし、特に北朝鮮の核問題が暴発しないようにするためには、中国の協力が最も大切です。アフリカその他の地域では、できるだけ責任ある対応を求めており、中国当局も、米国政府の不満が爆発しないよう引き続きそこそこな手を打っていくでしょう。民主党およびその支持者の間で、チベットをはじめとする人権問題について強硬姿勢を求める向きも多いでしょうが、オバマ政権下での人権問題の実質的な優先度は、意外に低いでしょう。ブッシュ政権が11月11日にビルマ特使として毎度おなじみマイケル・グリーンを任命したが、これが仮にオバマ陣営の了解を得たうえでのことでなかったとしても、オバマ政権でも、人権問題については、手をつけやすいところから手をつけていく、ということでしょう。エネルギー・環境問題については、気候変動条約の枠組みに戻り―ただし、京都プロトコールに調印するとは、私の知る限り言っていない―京都プロトコール後の体制に取り組みたいと言っているので、一国家としては温室効果ガスの最大排出源である中国に対する働きかけも活発化していくということはあるでしょう。
 経済問題については、ポールソン財務長官主導の「経済戦略対話」がそろそろ息が切れ始めていたので、金融危機への対応策、そして景気対策が一段落したところで仕切り直す、ちょうどいい区切りができたのだろうと思います。といっても、対中要求事項は、知的所有権の保護、外資いじめの阻止、そしてマクロ的には人民元の切り上げを含め経済成長における内需の役割拡大などと、ブッシュ時代とあまり変わり映えがしないでしょう。その際念頭に置いておくべきことは、単純化していえば、日本の場合、日本企業が主として米国企業と競合する製品を輸出したのに対し、中国の場合、完全子会社から委託生産まで形態はまちまちだが、米国企業のサプライ・チェーンの中に組み込まれた製品が輸出されているという違いも、当面変わりないだろうということでしょう。

 最後に一言、米国における対日関係の優先度は、低いのだが、それを不幸中の幸いと受け止めるべきです。北東アジアは、平和である。中国、韓国は、ともにステータス・クオ・パワー、現状維持勢力、北朝鮮も別の意味でそう、そして、ロシアも、極東では差し迫った脅威になっていない。

3)オバマ政権とうまく協力していくために日本は何をすべきか。

 できたらいいなあと思うことはいろいろあるのですが、できるかもしれないと思うことに絞ってお話しましょう。また、国内の景気回復および経済化改革の推進は、当たり前のこととして省略します。そこで、日本がすべきことは、端的に言うと、グローバル・インフラの維持・強化の国際的肩代わりが進んでいくだろう中で出来るだけ大きな役割をはたすようにしていくことです。米国の相対的国力の低下は、歴史的な趨勢です。それは、ブッシュ政権後期のありかたにも反映されていますが、オバマ政権こそは、国際協調、国際協力をはっきりと前面に押し出していくことになります。その中で、日本は、市場経済および自由主義を基本とする民主国家です。また、資源ネット輸入国でもあります。グローバル・インフラについての利害関係について、従ってその将来の方向性についても、基本的に一致しているはずです。


4)日本を正しい方向に導く次期政治リーダーは誰か。

 米国との関係だけで言えば、極端なことを言えば、誰でもいいのです。もっと言えば、アジア・太平洋における米国の兵力の前方展開のプラットフォームとしての役割を果たし続けることに反対するような政治リーダーがいないのだから、後は、日本の都合ですべて決めてもさしたる不具合がない、ということです。というわけで、この先は、床屋政談だと思って聞いてください。

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